16歳 男性 学生 青木陽大さんのエピソード
僕は今、恋をしています。
お相手は一つ上で部活の先輩の柴崎先輩です。
恋と言っても僕はまだ柴崎先輩と話すどころか、まともに目を合わせたことすらありません。
校内でもトップクラスに成績優秀で、誰もが認める校内一の美人。
部活でも頼れるエースで誰にでも優しく接してくれる。まるでパーフェクトを絵に描いたような人だ。
欠点らしい欠点といえば身長が22メートルある事くらい。
校内の誰もが憧れる存在だ。
そんな人に、僕みたいな地味で平凡なやつがお近づきになれるわけもない。
目を合わせようとしても中々合わないし、正直言って脈はない…。
だが、そんな僕にもお近づきになれるチャンスがやってきた!
今度のオスマントルコ帝国再現部の全国大会で、柴崎先輩のペアだったイブラヒム・ヌラ・アラフィム先輩が何者かに踏み潰されてしまい、代役になんと僕が抜擢されたのだ。
先輩にお近づきになれる高揚感と全国大会の緊張で正直今、気が気じゃない。
でも僕は先輩の様な立派なイスラム教徒になって全国大会ベスト8以上に入って先輩に告白すると決めた!
でも先輩と何を話していいか解らず、幼馴染みの栄子に相談している。
実は栄子は今、先輩の家に遊びに行っていて、それとなく僕の印象を聞いている。
そして逐一、それをLINEで教えてくれるらしい。
栄子からLINEが来た。
先輩は僕に好印象らしい。
尽かさず僕は何がどう好印象かを聞くよう催促し返信した。
すると栄子は
「やさし」
とだけ送ってきた。
きっと先輩の目を盗んでさりげなく送っているから途中送信したのだろう。
外では女の子が何かに踏み潰されたと救急車も出る大騒ぎになっているが、今の僕の胸の中はそれどころじゃないもっと大騒ぎになっている。
だから僕は栄子から返信を待ちながら、明日先輩に何を話すかを考えている。
とても楽しみだ。
つづく。